私が走ったと同時に、後ろからの足音も速くなった。
追いかけられてる……⁉︎
「おい!」
男の人の大きな声が聞こえ、ついに腕を掴まれてしまった。
「キャーッ!」
命の危険を感じ、とっさに出た叫び声。
「おい、呉羽!俺だよ!」
……へ?
呉羽って……なんで私の名前知ってるの?
もしかしてと思い、恐る恐る振り返ると……。
そこには少し機嫌の悪そうな瀬那先生が立っていた。
「せ、な、先生……」
「そんなに怖がるならひとりで勝手に山の中に入るな」
「ごめんなさい……」
怒られてしまいしょんぼりする私。
瀬那先生はそんな私の頬にそっと触れた。



