……それでも、4月からはそれぞれの道へ進んでいく。
その事実に変わりはない。
幼稚園からずっと一緒だった蛍と離れ離れになっめしまうんだと……今やっと実感してきた。
胸の奥がキューッと締めつけられる。
だめだ、だめだ、泣くな自分。
笑顔で卒業するって昨日決めたじゃないか。
気づかれないように太ももを強くつねってみるけど……その痛みよりも、蛍と離れる寂しさや辛さのほうが何倍も勝っていた。
「つむぎー……泣かないでよー。つられ泣きしちゃうじゃんかぁ……っ」
私が泣いているのを見て、蛍の目からも涙が溢れ出てきた。
またいつでも会えるのに、もう同じ学校に通うことができないだけで、なんでこんなにも苦しく辛いんだろう……。
「つむぎ、おいでっ」
「うんっ」
両手を大きく広げた蛍の胸に私は勢いよく飛び込む。
……不思議と、心は落ちついていった。
瀬那先生のときもそうだったように、本当にハグをすると人は幸せな気分になれるのだと思った。