今日も、私は瀬那先生を誘惑します。


「それさ、誰から聞いたの?」

「……同じクラスの女の子からです」

「その子は誰から聞いたって?」

「他のクラスの女の子たちがウワサしてたって言ってました」



俺は、横目で髪の間からつむぎを見る。



誰かが職員室で恵玲奈が結婚することを聞いて、なにをどう勘違いしたのか、俺と恵玲奈が結婚するんだとウワサを広めたと……。

今回の勘違い事件の真相は、そういうことか。



鼻をすすりながらまだ泣いているつむぎの涙を指ですくう。



「……つむぎは、それを信じたんだ?」

「……はい」



たしかに仕事が忙しくて最近つむぎとちゃんと話す時間がなかった。

少しでもいいから時間を見つけて会いに行けばよかったんだ。


俺は自己嫌悪におちいる。



「恵玲奈は……俺とは別人の守谷って人と結婚するんだよ」

「……え?」

「結婚相手は俺じゃない」