瀬那先生と派手男は睨み合い、一触即発の状態になった。

今にも殴り合いになりそうな雰囲気だ……。



どうしよう。

私のせいで瀬那先生がケガをしてしまうかもしれない……。



すると、今度は瀬那先生の顔が悲しげに見えた。



「俺の大事な彼女なんだよ。いいから離せ」



威圧するような怖く低い声なのに、表情はどこか悲しそう。

諦めてくれたのか、派手男は大きく舌打ちをしたあとに私を離しその場から去った。



「……とりあえず、俺の家に戻ろ」



瀬那先生に肩を抱かれ、有無を言う間もなく連れていかれる。

私がこれ以上雨に濡れないようにと傘を私のほうに傾けてくれているんだけど、そのせいで瀬那先生の肩が濡れてしまっている。



「傘もう一つ持ってきてくれたんですよね。私、そっち使いますよ」