つかむ力がどんどん強くなっていく。

腕を抜こうとするけど、女の力で男に敵うはずがない。



さすがにこの状況って、やばい……?とやっと私は気づき始めた。



「お店すぐそこだからさ!」と、私は派手男に無理やり引っ張られる。



なんでこんな人生どん底の日に、神様は私にさらなる試練を与えるのよ〜!

泣きながら走ってきたから、体力的にも精神的にももうズタボロなのに……。



必死に抵抗するも、派手男に引きずられるようにして私はお店のほうへと連れていかれる。



「あの」



うるさすぎる雨の音の中から、鮮明にその声だけがはっきりと聞こえた。



目の前には……大好きで大好きで大嫌いな人。

傘を2つ持った瀬那先生が眉間にシワを寄せていた。



「その子の手、離してもらえますか」

「あ?突然なんだ?」

「いいから離してください」

「なんでおまえのいうことを聞かなきゃなんねぇんだよ?」