一瞬だけ瀬那先生は戸惑いを見せたけど、すぐに私を持ち上げた。
あぐらをかいた自分の脚の上に優しく私を乗せ、ご要望通り……私をギュッと抱きしめた。
瀬那先生の匂いが鼻をかすめる……。
「瀬那先生……知ってますか?」
「ん?」
「ハグをすると、幸せホルモンがたくさん分泌されるから、幸せな気分になれるらしいんです」
「じゃあ……つむぎは今、幸せ?」
「……言わなくてもわかってるくせに」
「言ってほしいんだよ」
顔を見なくても、瀬那先生が意地悪を楽しんでる顔をしてるのがわかる。
「すごくすごく幸せです……。瀬那先生は?」
「幸せだよ。でも、幸せだけでは……ないかな」
予想とは違う答えに、私はショックを受ける。
「どういうことですか〜?」
一旦抱きしめられるのを中止して、私は、瀬那先生の腕を思いっきりつかんだ。
私が怒っているのに、瀬那先生はそんな私を見て楽しそうに笑っている。
瀬那先生はいつも余裕で羨ましいな……。



