「ずっと、呉羽にウソついてた」
「……」
「……呉羽の気持ちを聞いてないふりをして、ごまかしてた」
「……」
「門奈とお似合いだなんて、思ってない」
瀬那先生の声だけが聞こえる静寂な空間で、木のイスがきしむ音がした……。
瀬那先生が立ち上がり、私の隣のイスに座る。
脚を広げてひざにひじをつく瀬那先生は、「はぁ……」と深くため息をついた。
「俺を好きでいるの、やめんなよ」
そう言って、私を見つめる瀬那先生の目に少し伸びた黒髪がかかる。
急にそんなことを言われても……困るよ。
さっきまで振られたと思って大泣きしてたのに、そんなすぐに切り替えられない。



