呉羽の少し茶色がかった黒髪。
問題を解くのに長い髪が邪魔をして、呉羽は途中何度も耳にかけた。
その仕草がやけに大人びて見え……俺はつい、呉羽から目をそらせなかった。
耳では、透き通った青のビーズがついたイヤリングが揺れている。
「いつもこんなのつけてたっけ?」
「え?」と少し顔を上げる呉羽に、俺は自分の耳を指さした。
「あ、このイヤリングですか?実は、さっき門奈くんに貰ったんです」
「門奈に……?」
「門奈くんのお姉ちゃんが趣味で作ってるらしくて、私がいつもイヤリングつけてるから、門奈くんがお姉ちゃんに頼んで作ってもらったみたいで」
「……」
「すごくかわいくないですか?こういうデザイン好きだから、嬉しくてすぐつけちゃいました」