今日も、私は瀬那先生を誘惑します。



私の不安は消えないまま、扉はゆっくりと開かれた。



ゆっくりと開けたのにも関わらず、古びた体育館の扉は重くなかなか開かず、ギギィーと大きな音がした。



近くに座っている生徒や先生たちが、一斉に私たちへと視線を向けた。



舞台では野球部が流行っている曲を歌って、仲の良さをアピールしている。



どこでもいいから早く座りたい……!



恥ずかしさのあまり顔を上げられず、とにかく下を向いて時間が過ぎるのを待つことにした。



「遅刻かぁ……?」



後ろに横1列に並んでいた先生たちの中の1人、強面なおじさんの先生が私たちに近づいてきた。



「迷っちゃったみたいで、俺がたまたま会えたんで連れてきました」



登校2日目にして怒られるのか……と思っていた矢先、イケメン先生は私たちの前に立って、代わりに弁解してくれた。