とっさに否定しつつ……廊下から女の子の「ねぇ、瀬那先生!」という声が聞こえた瞬間、反射的に廊下を見てしまった。



いつものように女の子たちに囲まれながら楽しそうにしている瀬那先生がそこにはいた。



「ほーら、やっぱり見てる」



蛍はドヤ顔で私を見つめ、ニヤリと笑った。



やっぱり親友には敵わないんだと改めて実感した瞬間だった。



「……蛍、あのね、瀬那先生と話してるとき、ずっとドキドキしてるんだ。みんなに同じことしてるってわかってても、頭ポンポンとか褒められたりすると嬉しいんだ……」

「うんうん」

「私以外の女の子と楽しそうにしてるところを見ると胸の奥がギュッて痛くなるし、もっと瀬那先生のことを知りたいって思う……」

「うん」

「でもね、好きになるわけないって、最初から叶うはずのない恋はしたくないとも思うの。好きになっちゃだめだって……」

「うん」

「この気持ちって、やっぱり……」

「それ、恋だよ」



蛍は優しく笑い、私の頭を撫でた。