「忘れるなんて…」



私も立ち上がった。

尚志が振り返る。

「忘れるなんて、無理」

必死に泣きそうなのを堪えた。



「じゃあ、約束ね。
この世が無理なら次は必ず…」

私は小指を差し出す。

尚志は切ない笑みを浮かべて指切りをした。





この指切りを。

離したくなかった。