「久々に楽しんだ気がする」

ため息まじりに尚志は言った。

その視線は遠くの海を見つめていた。

「いつもは彼女に振り回されっぱなしだよ」

そうなんだ…

「こんな風に穏やかに過ごしたかった」

そう言って私を見つめた。

「…私もこんな風に過ごすのは好きだよ」

しばらく見つめ合う。

「良かった、そう言ってもらえて」

尚志から目線を外した。