電車に乗って2時間。

ようやく着いた港町は。

潮の香りをたくさん含んだ風が心地良く吹いていた。



「ここ、前に少しだけ住んでいた事があるんだ」

尚志は私を見て微笑んだ。

「ここにいたときは、幸せだったよ。
中学2年の時だったけど」

私は尚志の顔を見つめた。

「今は、幸せじゃないの?」

私の問い掛けに尚志は苦笑して

「幸せといえば幸せだけど、そうじゃないといえばそうじゃないね」