わ、しまった。 普段は、“志木くん”って呼んでるのに。 心の中では、ずっと“楸くん”って呼んでたから、それが出てしまった。 馴れ馴れしいと思われたかな…。 「ごめんなさい…」 「なんで? 嬉しいよ、俺」 「…そ、ソウデスカ…」 う、“嬉しい”って? どういう意味だろう? 今、変な期待しちゃって、ロボットみたいな返ししちゃったじゃん…。 「いーんちょ」 「うぁ…」 「俺の気のせい? 顔赤い気がするけど」 楸くんの手が、頬に触れる。 その瞬間、顔にぶわっと熱が集まった。