「私、看護師の中山 真緒。
新しい陽菜ちゃんの担当になったから、これからよろしくね 」


「…よろしくお願いします 」


緊張しちゃって、笑顔で挨拶できないのに、真緒さんの顔はどんどん明るくなっていく。

それに加えて、私の身体に抱きついてきて、良い意味で看護師さんじゃないみたい。


「陽菜ちゃんって可愛い。翔馬もそう思うでしょ? 」


「…そうだな。
あっ、そのまま陽菜ちゃんの身体少し抑えてて 」

真緒さんがこんなこと言うのも
翔馬先生が否定しないのも不思議。

それに翔馬先生の少し耳がほんのりと赤い気もした。


けど。

目の前の注射器がある銀色のトレーを見ると、
怖すぎてすでに半泣き状態。


「陽菜ちゃん、翔馬先生注射上手だから安心してね
息フッと吐いてみて 」


「フッー………グスン」


息をしてみるものの、真緒さんに腕を捲くられると大粒の涙が溢れ出す。


「陽菜ちゃん、もっと力抜けるかな ?
怖い気持ちは先生もよくわかるけど、その方が痛くないから 」


翔馬先生がそう言うと、真緒さんが腕を擦ってくれた。