「陽菜ちゃん、偉い ! 自分からするなんて言ってくれて
じゃあ、持ってきてもらうね 」


「…うん 」


一言、返事をした後は、注射が怖くて無言。


でも、そんな時だって、私の恐怖心を和らげようと

背中を一定のリズムで擦ってくれた。



ガラッ…

3分くらい立つと、ドアが開きさっきの人とは違う
若い女の看護師さんが入ってきた。

ピンク色の白衣を着ていて

髪の毛もフワフワしている。
こんな看護師さん病院では見たことなかった。



「翔馬、持ってきたよ 」


「ありがとう。真緒 とりあえず、そこに置いて 」

親しそうに話す翔馬先生と看護師さん。

注射が怖い気持ちが大きいんだけど、
それとは違って胸がチクリと痛む。

なんだろう…??




「陽菜ちゃん、この看護師さん新人だけど腕も良いし、俺の幼なじみだから怖くないよ 。注射するときに危ないから少し抑えてもらうけどいい? 」


抑えられちゃうのか…


怖い………。


でも、翔馬先生の幼なじみだから、
きっと怖い人ではないよね?


翔馬先生の問いかけに頷いてから、その看護師さんに視線をずらしてみると


ニコってほほえんでくれた。


笑った顔は、女の私から見ても可愛らしくて


そして何より、翔馬先生と同じように優しそう…

温かいものに満ち溢れていた気がする。