「おはよう… 」


「……………」


何も返してくれないことはわかっていたのに…

食卓の椅子に座っていたお母さんと目が合い、私は小さく呟いた。

突き刺さるような視線で攻撃してから、何もなかったように朝食を食べるお母さん。




「おまえ、どっかいけ目ざわり 」

私を嫌そうな顔で見て
暴言を吐いてくるのは弟の弘樹。

私より3歳下で小学生だというのに、
可愛さなんてまるでない。

中学受験を控えている弟は、目の周りはくまだらけ。
受験勉強のストレスをお母さんに嫌われている私にぶつけているんだけど、酷いこと言われる方はたまったもんじゃない。


だからといって、言い返したりしてケンカになれば、お母さんに怒られるのは必ず私。


いつものように、私はいらない子なんだから

仕方ない…そう言い聞かせてから台所まで歩き水をゴクリと飲み、逃げるように部屋に戻った。