「ねぇ 悠樹さん。こんなこと 言ったら お義母様に悪いけど… 私 今回の お義母様の怪我に とても救われたわ。」


結愛を お風呂に入れて 悠樹が 寝かしつけて。

私達は 久しぶりに 2人で 向かい合う。


「明日香には 色々 迷惑かけたね。」

「迷惑だなんて。家族のことじゃない。」

「ありがとう… 明日香が そう言ってくれるから 俺は 頑張れるんだ。」


「ううん。私ね 今まで 自信がないって 逃げてばかりいて。悠樹さんに 頼ってばかりだったわ。」

「明日香は いつでも 俺のことを 最優先に考えているだろう?」

「そうでもないわ。私 悠樹さんに 甘えてばかりだったもの。でもね。今回 お義母様と ゆっくり話して 私 吹っ切れたの。」


「お袋に 何か言われたの?」

「お義母様ね、私が 寂しいと思っていること ちゃんと お見通しで。でね、寂しいって思えることは 幸せだって。それだけ 悠樹さんを 好きってことだから。」

「そんなこと 言ったんだ…お袋。」

「お義母様も お義父様が忙しい頃 寂しかったんですって。お義父様のこと 好きだったのよ ずっと。」

「止めてよ 明日香。今さら そんなこと 言われると 俺が 照れるじゃない。」


「フフッ。悠樹さんが 照れること ないじゃない…でもね。本当に そうよね?旦那様から 心が離れたら 今みたいな 寂しさは なくなっても 別の意味で 寂しいじゃない?そんな 夫婦って。」

「そっか…俺が もっと家族と 一緒にいたいって思うのは それだけ 家族が好きだからなんだね?」

「そう。帰宅拒否症になる人も いるっていうのに。帰りたい家があるって 悠樹さんも 幸せよ?」

「ホントだね…」

「だから私 寂しいことを 寂しいって 思わないことにしたの。寂しいことは 幸せなことなんだもの。」

「ハハハッ。ちょっと強がりに 聞こえるけどね。」


私が 明るく話すから 悠樹の笑顔も いつもより明るい。

家庭に 笑顔が溢れているって

すごく 素敵な事だって 私は思った。