普通の家から 嫁いだ私が 産んだ子供でも

結愛は 特別に 育てなければいけない。


悠樹の 子供だから…

柴本家は 特別な家だから…


身に着ける物から 口にする物まで

結愛は 生まれた時から 厳選されていた。


たった数ヵ月しか 着ない 小さなベビー服に

一着 何万円もかけることに 

私は 抵抗を感じたけど。


結愛の離乳食が 始まると

私は 無農薬の野菜を 取り寄せたり

安全な食材を 使うようにした。


特別な家の子供は 全てが 普通の子供とは 違う。

小さな 違和感の積み重ねが 私を 苦しめた。


私は 自分の常識を 捨てなければならない。

私は 柴本家の人間だから。

結愛は 柴本家の常識で 育てなければならない。

悠樹の 子供だから。


いつも 悠樹が側にいて

私の違和感を 笑い飛ばしてくれたら。


私は きっと 自然に受け入れられたのに。


1人で悩んで 選択する時間は

私を 少しずつ 苦しめはじめていた。


結愛の母親は 本当に 私で 大丈夫…?