身体を重ねたことで 私達の心は

より深く 繋がっていった。


悠樹と私の間にあった 見えない壁が

いつの間にか 取り払われていて。


私は 素直に 悠樹を信じていたし。

悠樹は 私に 甘く接するようになった。


年明け 悠樹は 挨拶回りが 忙しくて。

私達は ゆっくり会うことが できなかった。


「あっ。前田さん。応接室に コーヒー持って来てもらえる?」

仕事中に 悠樹が 私に声をかける。

「はい。いくつ用意しますか?」

「一つでいい。俺だけだから。」

そう言って 悠樹は ファイルを手に 応接室に入って行く。


不審に思いながら 私は 給湯室で コーヒーを淹れて。

「失礼します。」

応接室の 扉を閉めると 悠樹は 甘く微笑む。

「んっ?」


コーヒーを 置いた私は 悠樹に 抱き締められた。


「悠樹さん…?」

「もう 無理。明日香不足…」


そう言って 悠樹は 私の唇を塞ぐ。

「んんっ…」


会社なのに…応接室なのに…

私 まだ 仕事が 残っているのに。


「明日香。金曜は 会えるから…」

ようやく 私を離した悠樹は

照れた顔で 私を 見つめた。


「悠樹さん…反則です。」

「明日香。顔が赤いから。水飲んでから 戻ってね。」


からかうように 悠樹に言われて。

少し 頬を膨らませて…


でも こんな風に 求められることも 嬉しかった。