私達が 付き合っていることは

会社には 当然 秘密だったけど。


私が 悠樹のお客さんに お茶を運ぶ時

悠樹は 少し照れたような 優しい笑顔で

「ありがとう。」と言ってくれた。


今までよりも 甘い声音に 私の胸も 熱くなる。


悠樹の立場上 2人が会える時間は

普通の恋人達よりも 少ないけれど。


悠樹は 私のために 時間を作ってくれて。

休日は 必ず どこかへ 連れて行ってくれた。


悠樹と過ごす時間が 増えるほど

私は 悠樹を 好きになっていく。


悠樹からも 私は たくさんの愛を もらっていた。


気持ちを 伝え会ってからの 悠樹は

それまでよりも 甘くて 優しくて。


私のことを とても大切にしてくれた。


「ねぇ。前田さん 彼氏できた?」

「エッ。できてないです…」


横山さんに 聞かれて 私は 動揺してしまう。


「そう?最近の前田さん すごく綺麗になって。絶対 彼ができたと思ったんだけどなぁ。」

「そんな… 私 変わってないですよ?」

「ううん。何か すごく色っぽくなったよ。」

「まさか。私 全然 色気ないです。」

「ううん。本当だよ。だから 恋していると思ったのに。」


私は 確かに 悠樹に恋していた…


でも 悠樹は 思ったよりも慎重で。

私達は 手を繋ぐだけで キスもしていなかった。


憶病な私の ペースに合わせてくれて。

ゆっくり 距離を詰めていく悠樹。


そんなことも 私は 大事にされていると思えて…


多分 横山さんが 言っていたように

私は 綺麗になっていたかもしれない。