悠樹は 郊外の湖で 車を停めた。

暖かな陽射しの中 手を繋いで 歩く。


「明日香 ボートに乗ろうか?」

「はい。乗りたい。あっ でも…」

「んっ?どうしたの?」

「ボートに乗ると 手を繋げないから…」

「離したくないの?」


私は 正直に 頷いてしまう。

「俺も。じゃ もう少し こうしていようね。」


首を傾げて 私の顔を見る 悠樹。


何だろう… この気持ち。


悠樹と 離れたくない… たとえ 手だけでも。

こんな気持ち 今まで 感じたことがなくて。


急に 胸がドキドキして 悠樹の手を 強く握る。


悠樹は  ” どうしたの? ” という目で 私を見て

応えるように 私の手を 握り返してくれた。