「先生、俺やっぱ無理です!だから解き方教えてくださーい」
すぐに降参してしまった。
席に戻って来た結希に
『ありがとう』と言うと
ちょっと照れて笑った。
......結希の事を好きじゃなくなったのは、
フラれたからとかじゃない。
怖いから。
今の
<幼なじみ>
って関係が壊れて、この近さを失いたくないから。
だから、
『好きじゃなくなった。』
なんて嘘。
本当は心の隅で
まだ想っているのを
無理矢理、蓋してるだけ。
「ちー。さっきボーッとしてたの......和泉が気になるから?」
「ふぇ!?」
「和泉......さっき時雨の事、呼び出してたじゃん。気になるんだろ?」
「何であたしが和泉なんか、気にしなきゃいけないのさ;」
「そんなの......」


