兎の沈黙 うさぎのちんもく


「あ、アイツ元気?」


「ん?」


「アイツ…カイト」


「うん、今日もなでてきたよ」


「オレと同じ名前って、偶然?」


「…んーん…
カイトを家族に迎えた時
私、名波のことが好きで
黒いし、名波に似てる気がしたから
カイトにした」


「いや、オレあんな黒くないし!
アイツ、真っ黒じゃん!」


「フフ…うん
でも、好きな人の名前って
愛着湧くから…」



「どっちが好き?」


「ん?カイトと名波?」


「うん」



「んー…どっちも!」


「そこで悩むな!
しかも、どっちもって…」


「フフ…名波、ヤキモチやいてる」


「ね、あんな猫にね…」


「あんな…って言わないでよ!」


「ごめん
それだけ、山野が、好き…
猫にヤキモチやくぐらい…」


「うん…ありがと

かいと…好きだよ…」


ドキ…



「え、オレの方…?」


「フフフ…うん、オレの方…
名波凧…
凧が、好きだよ」


ドキ…ドキ…ドキ…



「月姫…」


「ん?」


クルクルした瞳

キラキラしててガラスみたい

かわいくてふわふわしてて…ウサギみたい


「アイツ…カイト…
オマエのこと狙ってるから気をつけて!
食われるなよ!」


ふたりで笑って