兎の沈黙 うさぎのちんもく


「電気、付くかな…」


「うん…」


付くよ…いつか付く

付かなきゃいいのに…って

山野は思ってる


それは

なんで…?



なんでオレ

帰んなかったんだろ?



山野が心配だから?



それとも

山野が…



「名波って、好きな人、いないの?」


なんで聞くの?そんなこと



「なに?いきなり

オマエ、人の心読めるんだろ
なんでもわかるんじゃないの?」



もぉ、勝手に読んでくれ

誰?オレの好きな人

自分でもよくわからないんだ



「ホントはね
ホントは、人の心なんて読めないよ
本気にしてた?」



「え、ウソ?
だって、いつもオレのこと…
結構当たってたし!
オレよりオレのことわかるんじゃないかって
思うくらい当たってたけど…」



「うん…
名波のことなら、だいたいわかるよ
だっていつも見てたから…」


「いつも…?」



「うん
中学の時からずっと気になってて…
その時からずっと見てる」


なんで???



「好きな食べ物とか
よくする仕草とか
たぶん今、こう思ったかな…とか
名波ならこうするかな…とか
なんとなくわかってきたけど…

わからないんだ…
ひとつだけ」


ひとつだけ…


山野でも?



「…なに?」