「リオン、杏菜に近づかないで。杏菜は僕が連れて来たんだから」

ダミアンが杏菜を抱き締めながら言う。杏菜は恥ずかしさを感じながらもダミアンの腕の中で安心していた。

「……邪魔しないでほしかったなぁ」

リオンはそう言い、クルリと杏菜とダミアンに背を向けて歩き出す。リオンの姿が見えなくなるとようやく杏菜はダミアンの腕から解放された。

「ダミアン様。……んんっ!」

杏菜がダミアンの方を向くと、ダミアンに噛み付くようにキスをされる。ダミアンのキスはまるで甘い毒のように杏菜から力を奪っていった。崩れ落ちそうな杏菜の腰にはいつの間にかダミアンの腕があった。

「愛してる、杏菜……」

ダミアンはそう言い、杏菜の肩に頭を押し付ける。杏菜は胸を高鳴らせながら、ダミアンの背中に腕を回した。



それから数日、杏菜は変わりのない日々を過ごしていた。ダミアンから甘やかされ、大切にされる。時々、リオンが現れるものの杏菜にとってはもう慣れた生活が続いていた。

「杏菜、少し出かけない?」