本を選んだいた杏菜は、「wedding day」と書かれた表紙の本を見つけた。ページをめくると、そこに広がっている女の子の憧れの瞬間に杏菜の頬が緩んでいく。

「素敵……!」

その本は、歴代のクラリネッタ王国の国王たちの結婚式の写真が載せられていた。王妃が着ているドレスの解説までされている。

「杏菜はこんな華やかなドレスが似合うと思うな〜。カラードレスだったらピンクがいいかも!」

夢中になってドレスの写真を見ていた杏菜に誰かが話しかける。杏菜が横を見れば、ダミアンの弟であるリオンがニコニコと笑っていた。

「リオン様!図書室に来ていたのですね」

杏菜が慌てて本を閉じると、リオンが「杏菜がいるって聞いてね」と杏菜の手を優しく取った。

「オーストリアに素敵な宮殿があるんだ。かつてモーツァルトが音楽を奏でた場所でさ。結婚式を挙げるならそこで二人きりで挙げたいなぁ」

リオンは頬を赤く染め、杏菜に近づく。杏菜が戸惑っていると、背後からふわりと抱き締められた。