「わあ、綺麗な表紙……」

北山杏菜(きたやまあんな)は、本を一冊手に取り、その場で読み始める。本の中身は英語だったが、表紙のような美しい挿し絵を見ているだけで杏菜はわくわくしていた。

「その本、僕も読んだことがあるよ。とてもいい話なんだ。読んであげる」

杏菜が挿し絵に夢中になっていると、クラリネッタ王国の次期国王であるダミアン・スズキ・トリクシィに声をかけられた。

「本当ですか?嬉しいです!」

杏菜が笑うとダミアンも優しく微笑む。そして、杏菜の頬に優しく手が添えられ、唇が重なる。

杏菜は部屋から出してもらい、ダミアンに連れられてお城の中にある図書室に来ていた。おしゃれな表紙がたくさん並んでいるため、英語がわからなくても楽しめる。

「部屋に何冊か持って帰っていいよ」

ダミアンにそう言われ、杏菜は部屋に持って帰る本を選び始める。どの本も素敵な表紙なため、迷ってしまう。

「これは何だろう。写真集?」