花火大会も、海水浴も、夏祭りも、世間には胸キュンイベントが溢れていて、まるでパラダイスのような夏休みまで、あと少し。

中学一年生になったばかりの夏休みの予定表は、お家で勉強するか、塾で勉強するか、というだけの非常につまらないものだった。

家族旅行に行くのが定番の流れだけど、私は母子家庭であまり裕福でもないし、どうやら塾の夏期講習に通わせるだけで精一杯のようだったから、恐らく何処にも行かないに違いない。

暇だからアニメみたり漫画よんだり、ゲームしたり本よんだり、、まぁこんなもんだよね。

そもそも性格的にインドア派の面倒くさがりだと思う。家の中ではくつろいだりできるし、面倒な人間関係とも無縁だし、自分だけの空間が広がっている。

一人は楽だ。一人が好きだ。

そんなふうに思ってみても、やっぱりどこか物足りないもので、心の中の大事なところが満たされていないような感覚に陥っていく。

単調で、退屈で、白黒の、世界観。

私の中にある世界は、さながら色づくことを忘れてしまったようだった。もしもモノクロテレビの中で生まれたとしたら、今と同じ気持ちになるのだろうか。