「まいどー!」
人当たりの良さそうな屋台のお兄さん。
差し出してくれたのは選んだ桃色のラムネ。
それに触れれば付いていた水滴が、火照った手に染み込んできて、思わず頬に当ててしまった。
「ふわぁ…。冷たい」
「やめろ」
「桜井くんもしますか?気持ちいいですよ」
ラムネを頬から離して桜井くんに近づければ、「冷たいから嫌だ」といって逃げられた。
──────あ、
「……綺麗」
桃色のラムネ越しに桜井くん。
その銀色の髪の毛と、澄んだ桃の色。
異世界かと疑うほどに綺麗。
「……桜井くんがピンクに見える。」
桃色に写る桜井くんは顔の前に翳していた瓶をコツン、とわたしのおでこにぶつけてきて、……あっかんべーの顔。
「ばーか」
目に写る桜井くんは瓶を翳してなくとも、桃色と銀色。
何故だが今、わたしはそれが綺麗に見えて仕方がないのだ。

