銀色ハウスメイト




「ほらあ!はやく行きましょう!」


「……だる」





絶対、桜井くんって “無気力系男子” とかゆう部類の男の子だと思う。


けれど、なんだかんだ言いながらも後ろを歩く彼の姿には笑みが溢れた。









──────だんだん辺りに人が増え、きっともうすぐ出店が立ち並ぶだろう。





2人は夜空に花火が打ち上がる下で、橙色の灯に消えていく。





掴まれた腕はいつの間にかわたしの手のひらに回っていて、


包んでから絡まるまでははやかった。




このとき、どうして桜井くんが手を繋いだのかは分からない。

けれど、お祭りに夢中のわたしがこの手に気付くのは、





当然のようにあったぬくもりが消えていた、現実を忘れそうになるくらいに幸せな時間が終わる頃だった。