「冷やさないと…!」 「いや、大丈夫だって。あんまかかってねえから」 「でもっ」 「まじで。…ちょっと、このままにしてて」 わたしの手を振り解いた桜井くんの手は、もう一度背中に回される。 その流れでわたしも桜井くんの胸に顔を埋めた。 いつの間にか桜井くんの手は、わたしの背中から頭へと移っていた。 「……焦った。お前、鈍臭すぎんじゃねえの」 「ほんとその通り……。手、すみません」 「別にいーよ」