さっきのことを思い出したのか、桜井くんはまた少しだけ笑う。
桜井くんの笑い方は、ほとんど表情だけだ。
声まで笑っているのは珍しい。
「笑すぎですよ、」
「やっぱり変なやつだな、お前」
「失礼!」
「 … で?どーなの、スッキリした?」
________「…… はい。ありがとう、桜井くん」
そう伝えると桜井くんは肩から頭を起こして、わたしの顔を覗き込んできた。
桜井くんの瞳にわたしが映った瞬間、君は口角を少しだけ上げて、
________「お前はぜんぜん大丈夫だよ」
って。
そのときわたしは口を手で覆うこともせず、笑ってた。
自然と笑顔が溢れたとき、一緒になって涙も溢れてくる。
でも、別に気にならない。
笑顔が8割。
涙が2割。
それはきっと、笑顔の方が勝っていたから。

