目の前の桜井くんは、
1番はじめに少しびっくりして
次の瞬間にはおかしそうに笑った。
「 … っでも、叩いてごめんなさい!わたしももっと対応のバリエーション増やします! …… 以上!」
桜井くんは最後に小さく笑いながら息を吐いて、__コツン、とわたしの肩に頭を置いた。
肩からじんわり、熱を貰ってるよう。
ほら、桜井くんって体温高いから。
「さ、桜井くん」
でも、胸のモヤモヤが晴れたからかな。
周りが見えるようになって、今更だけどこの近すぎる距離に戸惑う。
けれど、距離を取ることはしない。
長く出来なかったことが今、出来た。
離れたらそれが薄れてしまうように気がして。
「 …… スッキリした?」
「 … 待って、… くすぐったい」
耳に直接話しかけてくるから、吐息が触れてむずむずする。
声だけの桜井くんは、やっぱり少し楽しそうだった。

