「さ、桜井くん … 」
後ろを見ると、向かってくるのは無表情の桜井くん。
桜井くんを視界で追う時間は、本当に時が止まったように感じた。
よく分からないけれど、わたしと桜井くんしかこの場にいないように。
「っ、いった … 」
我に返ったのは、わたしが手を叩いてしまった彼の声を聞いたから。
絶対に痛かったはずだ。
だってわたし、結構強めに叩いちゃった気がするし …… 。
最低だ。
店員がお客様の手を叩くなんて、本当にこの表しがたい “ やってしまった感 ” しかない。
でも、今は頭を下げる事しか出来なくて。
「ほ、ほんとすみません!」
ピアスを付けている彼に対して、深々と頭を下げた。
もっと上手い方法があったはずなのに、ほんとにバカだ。
「三浦ちゃん?どうしたの、!?」
そして、このタイミングで来てくれる広瀬さん。
広瀬さんを視界に入れたわたしは不安と罪悪感で泣いてしまいそうだったと思う。

