でも、それを制するように腕に触れたわたし以外の手のひら。
それはきっと、わたしがもう二度と顔を合わせたくない2番テーブルのどちらか。
焦るな。焦るな。焦るなバカ。
自己暗示を続けながら、わたしは今できる精一杯の普通の顔で振り返った。
「三浦 … さん?お腹空いてんのー?」
大きなピアスをつけた1人が制服についた名札を覗き込みながら聞いてくる。
お願いだからそれには触れないでほしい … 。
そしてなによりノリが軽い。
「えっと、バイトの前に食べてくるの忘れちゃいまして … 。」
「うーわあ。俺だったら絶対むりだ。なあ?」
「うん。腹減って客のご飯食っちゃう。」
「ははっ。だよなあ!」
大きなピアスの男の子と、
もう1人、ミルクティー色の髪の毛の男の子が話す。
さっきとは一変して、すごく楽しい空気が流れているのは分かるんだけど、わたしの視線は掴まれたままの右手にあって。
どうしたらいいんだろう、これ …… 。

