「あとなに?」


「うーん … 。特にはないです。」




小一時間しかいないくせに、桜井くんは「やっと帰れる」と呟いて、わたしの持っていた紙袋をさっと奪った。


「持ちます」と言っても「重い」とだけ言うから会話は成り立たないし … 。


「ありがとうございます」とだけ伝えて、わたしは彼に甘えることにした。