「……三浦。」


「……なんでしょう。」




桜井くんに返事をしながら袖を直そうとするけど、桜井くんの手がそれを許さない。

掴まれた手が痛く、古いか新しいかもわからない傷に響いた。




「……桜井くん、離して。」




注がれ続けていた視線に答えると、わたしの気持ちを汲み取ったかのように掴んでいた手を離してくれた。


“なにも聞かないで”


……ありがとうございます、桜井くん。



腕から離れた桜井くんの手が今度は額へと上ってくる。




「熱、上がってきた？」


「そうですか？分からないです。」


「……あっそ。」