水滴を拭って濡れた袖をめくり上げた。 ほんとに桜井くんは。 とりあえず顔からどかしたタオルは床に落としてしまったけれど、その一部が水浸しになっていそうだなあ。 ……唐突に桜井くんの視線を感じた。 桜井くんの視線の先はわたしの顔ではなくて。 ________________あ。 わたしの腕にいくつもある、赤紫の痣だった。 気づいた時には遅く、いまのわたしは “しまった” とでも言いたそうな顔をしているのだろう。