「……軽すぎ。」
「え?…あ、ありがとうございます?」
「褒めてねえけど。」
状況を理解する暇もなく、わたしはベッドの上に運ばれた。
真っ赤になっているであろう顔を手で覆う。
びっくりした。
運ぶならなにか言ってくれたらいいのに。
……あ。
桜井くんは言葉が足りないんだったっけ。
そのとき、桜井くんがわたしの名を呼ぶ。
言葉の足りない桜井くんが、だ。
「おい、三浦。」
「はい______」
桜井くんに返事をするために退かした手。
それを2秒後には後悔することになるなんて。
わたしの視界に映ったのは、ドボドボのタオルが顔面に迫ってくる様子だった。

