「三浦。」
少しして桜井くんの声が聞こえてきたからソファに預けていた頭を上げる。
「え、」
おかしい。
桜井くんの右手にはドボドボのタオル。
おそらく額に乗せるために濡らしてきてくれたんだろうけど、ぜったい絞ってない。
それを持ったまま迫ってくるから、こっちは思わず後退り。
「や、ちょ、桜井くん」
「なに」
“ タオルから水落ちてます ” と、言おうとした。普通に。
でも、叶わなかった。
一瞬、ふわっと重力を感じれば景色は先ほどよりも高くなってる。
「落ちんなよ」
「……え」
……いわゆるお姫様抱っこ。
を、された。桜井くんに。

