「俺と一緒に来たかったんじゃねえの?三浦」
そのとき、
耳元で囁かれた声に、息をするのも瞬きをするのも全部忘れた。
それくらい、この言葉はなんというか、なんというか。うまく言葉に出来ないけれど。
甘くて、
儚くて、
低くて、
心臓がドクドク鳴りすぎて死んじゃうんじゃないか、と思うくらいには。
「…っ、桜井くんっ」
「なに」
「ひ、なんか、心臓が…っ、」
「は?」
「無理っ…、ちょっと、水買ってきます!」
「はあ?」
どんどん音を増す心臓に、このままこの人の腕の中にいたら、おかしくなる。
わたしの本能がそう言った。
そしてわたしは後先も考えず、桜井くんのふいをついた隙に、逃げ出したのだった。

