片手は桜井くんの口元を塞いだまま、もう片手の人差し指を自分の口元に当てて、しー、の手。
桜井くんはそんなわたしを鬱陶しそうに一瞥した後、手を退かした。
「お前が食え」
「わたしは意志の強い人間なの…、で!?」
……いきなりの口元の違和感。
…と、甘い味。
……なんと。
せっかくの演説を無視してこの男。
「はい、食った」
クレープ突っ込んできた…!!
「ひょっ、はふはひふん!」
「うん?何言ってんのか分かんねえな」
「……っ、ちょっと!桜井くん!」
口いっぱいの甘い味を飲み込んでから、桜井くんに怒ったポーズをするものの。
全然おもしろそうにする桜井くん。
……だって、美味しかったんですもん。
わたしの顔は120パーセントにやけてるだろうから。

