桜井くんは、歩いてきた道を戻ろうする。
さっきのラムネ、本気でもう一回買いに行く気なのか。
……いつの間にか離れてしまっていた。
桜井くんはわたしの手に自分のそれを絡めながら、引っ張っていく。
「ちょっ、ほんとにもう一回行くの──────…」
「祭りはあんま好きじゃねえけど、」
振り返りもしないくせに遮られた。
一体なに。
──────そんな顔をして。
「三浦と来るのは、悪くないかも」
また、見たことない表情。
笑ってるのに哀しいみたいな。無表情に見えて、表情豊かなとことか。
そんな桜井くんの笑い方に、わたしは格好いい、なんて思ってしまうのだ。
「……そっか」
繋がれた手に視線を落とせば、
そこには橙色の提灯に照らされて、痣なんてない自分の白い肌があった。

