すぐそこに夏空が【中学生日記】

「あ、あのさぁ、ぅぅ海、ぃ行こうよ……」
「え?」

「あ、ぃ今じゃないけど。あ、でも水着、無いんだよね……」
「はぁ?」


 暑さとKYな会話が、奈緒をイライラさせる。それが痛いほど、伝わってきた。
 テツローは速攻で、この場を撤収した。




「あぁ、タイミング間違えちゃったな……」

 テツローは独り、自宅のベッドに転がり凹みきっていた。
 煤け汚れた天井を見つめる。

「この夏、終わったな。もう、ダメだ……」



 ブブー ブブー…… 

 携帯が鳴っている。
 メールだ。
 奈緒からだった。
 画面を開けてみた……






「ねぇ、水着…… どんなのが好き?」



 一転、オレの夏の扉が、いま開いた。