すぐそこに夏空が【中学生日記】

 なんだか急に、奈緒がいとおしくなってきて、一緒に帰りたくなった。

 さほど広くもない教室内を探す。だが、こんなときに限って彼女が見当たらなかった。
 さいわいカンナがいたので、奈緒の行方を訊いてみる。

「あぁ、奈緒ならね。水泳部の友だちに、プール掃除手伝って欲しいって頼まれて、もう行っちゃったよ。なんかブツブツ文句言ってたけど」

「ありがと」
 
 カンナに礼を言い、オレはプールに向かった。


 この暑さでプール掃除なんて、大変だな。
 まさか奈緒、スクール水着で掃除……じゃないよな…… 
 もしそうならオレ、一緒に手伝ってもいいかな。


 先程の妄想を、まだオレは引きずっていた。