水魚の交わり すいぎょのまじわり

バスが来るのをふたりで待った


陽翔、暑そう

羽織ったシャツの襟元から
アザが見えた



「陽翔、暑いでしょ」


「んー…大丈夫…慣れてるから」


「シャツ、脱げばいいのに…」


「でも…」


「脱いでも、大丈夫だよ
私しかいないし…」



陽翔がシャツを脱いで腕に掛けて持った

首元とTシャツから出てる腕にあるアザが
浮き立って見えた


陽翔がなんとなく隠した



「陽翔、気になる?」


「うん…人が来たら着る
ひなたも、ホントは気になるでしょ」


「気にならないよ
陽翔が気になるなら…私が隠すよ!
こーすれば、見えないよ」


私は陽翔と腕を組んだ

今日、ずっとしたかったこと

陽翔と手を繋いだり腕を組みたかった



陽翔は私に触れるのが

きっと恐い


私に気持ち悪いって思われるからかな

そんなこと、思わないのに



陽翔の腕が私から逃げようとした

陽翔の腕を逃さなかった


「きっと人が見たら
ただ付き合ってるふうに見えるよ!
不自然じゃないと思うよ

ホントは、ふうに…じゃなくて
付き合ってる時にしたかったな…

付き合ってたら
きっと、もっと…
ドキドキしたり…
嬉しい気持ちになれたのかな…」


陽翔、なんか言ってよ…

虚しくなるよ