僕は狼狽を悟られないよう語気を強める。
 やっぱこの質問、変だったか……?
 いきなり『ゆずき』って。
「知ってる? ってなんだよ」
 楓が不愛想に、質問に質問で返してきた。
「なんだよってなんだよ」
 僕も負けじと質問への質問に質問で返す。
「コウ、お前――カノジョ自慢でもしたいわけ?」
 さらなる質問をかぶせられたが、そんなことより僕が耳を疑ったのは、楓の口から飛び出たこのパワーワード――
 カノジョ自慢……。
 カノジョ?
 カノジョ。
 カノジョ‼
「ゆ、ゆずきが僕のカノジョだって言ってんのか?」