初恋前夜

 とにかく、僕に対していつだって素の反応を見せる。この十年の付き合いで それだけは間違いなく信じられた。
 だから楓には回りくどいことをしない。
「楓が一番好きなプレイヤーって誰?」
 ストレートに質問した。
「は? バスケの話?」
「ああ、バスケ」
「なんだよいきなり。お前、興味ないだろ」
「いや、いまはすごくあるんだ」
「嘘こけ。この十年、バスケする俺のこと、やれやれって目で見てきたじゃんか」
 楓め、なかなか鋭い洞察力を見せやがるぜ。
「まあ、とりあえず答えて」
「キング・レブロン」
「ん? それ名前?」
「愛称」