初恋前夜

 打ち上げで行ったバーベキュー。
 その日僕は、思い切ってゆずきに告白し、ゆずきは僕を受け入れてくれた。
晴れて彼女と両思いになった。
 それからというもの、ふたりでよく、一緒にしゃべったり、勉強したり――。

 ぼんやりとゆずきのことを思い浮かべるうちに、自分の顔がニヤけていることに気づいた。
 小説はまだ執筆中で、昨日ようやく彼女との仲を深めつつある場面まで書き進めた。
 これからの展開をどうしようか。頭の中であれこれと思いを巡らせるのが毎日楽しい。
 さっきまで自分の不遇を嘆いてみたが、脚本落選の件も一穂のことも、ゆずきの笑顔を想像すれば些末なこととして忘れられる。
 それだけゆずきは特別だった。
 彼女こそ、僕にとって理想の子なのだ。